日本の油田は新潟県や秋田県などの日本海側に多く分布していますが、静岡県牧之原市の「相良油田」だけが唯一の太平洋側の油田です。
相良油田は、1873年に掘削開始し、初めは手掘りの「上総掘り」でした。手掘りでも250m以上も掘ったそうで、当時の人たちの苦労がしのばれます。かやぶき屋根で覆われて、中ははしごで地下に降りるようになっている様子が復元されて、公園内に展示されています。
その後、機械式を導入し、日本で最初に機械掘りをした石油井戸だそうです。戦時中は数100もの井戸があり、重要なエネルギー源になっていたそうですが、昭和30年代で閉鎖になりました。
現存する井戸は最後の機械掘りの井戸で、資料館から少し離れた丘の上にあります。廃坑後は経産省・近代産業遺産として保存されています。
非常に軽質な油で、ガソリンに近い性状が、他の日本海側の油田と違います。そのままでもエンジンがかかるくらい上質な油だそうです。その成因については、様々な説があるようです。
櫓下には、今も油が地表に漏れ出しています。雨水も入って黒くなっていますが、実際は薄い黄色の透明な油です。
公園内には井戸が保存されているだけでなく、資料館もあります。広い公園内にはBBQスペースもあり、芝生でくつろぐこともできます。
隣接する栗林では、秋になると栗拾いができて、焼き栗を食べることができます。
車で30分ほど走ると、御前崎の灯台や魚市場にも行けますので、1日楽しめるエリアです。
100年以上前の産業の遺産を知って、少し物知りになれます(笑)。