山梨県南巨摩郡 富士川町にある古い蔵造りの建物が目を引く、萬屋醸造店の酒蔵ギャラリー「六斎」。
ここは、早川町の温泉宿に宿泊した後、必ず立ち寄る場所です。
入口を入ると、天井の高い素敵な空間、カウンターには日本酒のボトルが並び、有料試飲できます。
私はドライバーなので、いつも夫の試飲を香りだけ楽しむという悲しい役割。試飲はすてきなグラスをいただき、下の写真のカウンターで自由にお酒を注げます(追記:コロナ禍で試飲は中止中)。グラスはお持ち帰りでき、一輪挿しにもなるグラスです。
奥の棚にある日本酒、どれも美味しくて、毎回3~4本は購入します。季節ごとの限定品もあるのですが、普通のお酒が普通に美味しい。お気に入りは、鷹座巣 (たかざす)と春鶯囀(しゅんのうてん)。
鷹座巣は地元産のお米「玉栄」(たまざかえ)と南アルプス最南端、櫛形山(鷹座巣山)の極上な伏流水を使用した「地産地消」を極めた純米酒です。「美味しんぼ」に紹介されたこともあるそうです。きりっとした辛口です。
春鶯囀(純米酒)も玉栄とあさひの夢を使用し、まろやかでコクがあって、食事に合うお酒です。我が家では、一晩で四合瓶が空きますが、どれもリーズナブルなお値段です。最近は一升瓶で購入しますが、それも2晩でなくなってしまいます(笑)。
春鶯囀は色々な種類があるのですが、本醸造の普通のお酒もぐいぐい飲める美味しいお酒です。
戦後、日本酒は合成アルコールを混ぜて、粗悪品が流通していたのですが、こちらの酒蔵は早くから酒造りを見直し、よい品質のお酒をつくることにこだわっていたそうです。そのこだわりが、自分たちでお米を栽培するという作り方に生かされているのかと思います。
酒蔵がある富士川町(旧増穂村、旧鰍沢村)は、富士川舟運の要衝の地として栄えた非常に歴史がある街です。酒蔵のある通りも由緒ありそうなお店がたくさんあります。
六代目当主が与謝野鉄幹・晶子夫妻と交流があり、文学や芸術に精通していたそうで、蔵の2階はギャラリーとなっています。常に美術や文学に関する展示を行っています。入場は無料ですが、非常にクオリティが高い展示です。今でいう、「意識高い系」の生き方を古くから貫いていたのかと思います。
また、お酒だけでなく、アート作品や陶芸品、染色小物、大吟醸酒の酒粕を使用したカステラなどのお菓子も置いています。このカステラは、真っ白でふわふわで、普通のカステラとはずいぶん違います。アルコール分は抜けているのでお酒に弱い方でも大丈夫です。このような雑貨は、通販では買えないので、ぜひお店を訪ねてみてはいかがでしょうか。