早期退職、セミリタイア生活日記

静岡県三島市でセカンドライフを開始、伊豆を満喫しています

地震予測に挑戦する人々

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私が子供の頃、学校で「東海地震警報がでたら、集団下校になります」と9月1日の防災の日避難訓練の時に校長先生がお話ししていたのを覚えています。

あの頃は、明日にでも東海地震が起こると言われていましたが、それより先に東日本大震災が起きてしまいました。

その後、国や地震学者は「地震予知は不可能」と宣言しました。

10数年前の学会で「津波堆積物」の研究を知り、東北や四国沿岸部には津波で運ばれてきた厚い砂層が地下にあり、それがたかだか1000年前の地震で堆積したものだと聞いて、驚いたことを覚えています。

地質学でいう1000年なんて、ついさっきのことです。

ただ、その頃、誰もそれが今の時代に起きる可能性があるという視点ではとらえておらず、あくまで過去の地震の堆積物を堆積学的に観察しているという認識だったように思います。

その堆積物は、平安時代の東北地方を津波が襲った「貞観地震」であると古文書にも記録されていたのに、2011年の時点ではこの地域での大地震は全く盲点でした。

2011年の東日本大震災以降、各地で内陸直下型の地震が起きていて、日本は地震・火山活動が活発になりました。南海トラフや東京直下型の地震、さらには富士山の噴火がいつ起こってもおかしくはないと言われています。

自分の安全を確保することだけでなく、いわゆる太平洋ベルト地帯とよばれる日本の産業の中心や、東京を中心とした社会システムが崩壊する可能性を覚悟しておかなければならないと思います。

私は株や投資信託で資産運用をしていますが、もしこういった大地震が起こったら、リーマンショックどころではないダメージが長期間にわたって起こると考えて、海外にも分散投資しています。

地震調査委員会は「全国地震動予測地図」は、「今後30年以内に震度6以上の地震が起こる確率」という、ややあいまいな予測は公表していますが、そこから一歩踏み込んだ地震予測に挑戦している2つの研究のご紹介をしたいと思います。

MEGA地震予測

1つ目は、測量工学の権威である 東京大学の村井俊治名誉教授 によって開発された、人工衛星GPS)を使用し、リアルタイムの微小な地殻変動を捉えて解析した「MEGA地震予測」という手法です。

トップの写真は、長野県大鹿村の「大鹿村中央構造線博物館」にある電子基準点です。国土地理院によって設置された全国の約1300か所の電子基準点のデータと私設の観測点データを使用して地殻変動を解析しています。

東日本大震災の半年前から、東北地方で異常値を確認していたのですが、情報発信することはできなかったことを後悔して、この研究を始めたそうです。

大学を退職後は、「地震科学探査機構(JESEA)」を設立して、地震予測を行っています。

村井氏によると、「予知」は不可能だが、「予測」は可能であるという考えのもとに、研究を進めています。

今は有料メルマガで毎週、各地の変動値を配信しています。また、地震学や地質学の専門家ではないということですが、熊本地震のデータ観測から「ミニプレート」という概念を考案し、地震予測に使用しています。従来の地質学でいう「地質区分」とは少し異なるものですが、非常に斬新なアイディアです。

その詳細については、「地震予測は進化する!」という著書に詳しく記載されています。

まだ、地震予測の精度は完ぺきではない部分もあり、批判もありますが、大きな地震の後、予測に失敗したときは正直にメルマガで報告しています。

地下天気図

もう1つは、東海大学海洋研究所の長尾年恭教授が考案した「地下天気図」です。

大きな地震は、地震活動が静穏化している地域で起きるか、静穏化が消滅した後に起きるという理論で、静穏化を検知して天気図のように表示しようということです。

現在の静穏化地域や、それが縮小または消滅する地域を有料メルマガで発信し、大きな地震が起きる可能性の有無を示唆しています。

一歩踏み込んだ地震予測に挑戦する勇気

国が公表している「地震の発生確率」より、一歩踏み込んだ地震予測をしている2つの研究には高い使命感と勇気を感じます。

こういった地震予測は、まだまだ「いつ」起きるかを正確に示すことは難しく、批判を恐れて公表しないことの方が楽かと思います。

実際、数年前にイタリアでは地震学者が地震予知できなかったということで、逮捕されてしまうという事例もありました。

データ収集や解析にはお金がかかりますので、私はこの2つの研究を応援したいと思い、有料メルマガを購読しています。

ご興味がありましたら、購読してみてください。

また、地震予測ではありませんが、地質・火山・地震についての知識をわかりやすく、伝道しようとしている京都大学教授の鎌田浩毅氏の著書も紹介します。

「富士山噴火と南海トラフ」「西日本大震災に備えよ」は、近い将来起こると言われている「南海トラフ地震」「富士山噴火」「東京直下型地震」が日本の経済活動に与える影響を警告しています。もうすぐ、東京オリンピックが開催されますが、その前あるいは最中に起きてしまったら、大変なことになります。

私が学生の頃は、地質学を勉強しても何の役にも立たない、趣味のような学問という感じでしたが、彼の著書では、地質学が防災上、非常に役に立つ学問だということを強く主張しています。地質学を志す高校生がもっと増えて、新しい研究成果を上げてくれるよう期待します。そのためには国がもっと研究予算を割いてほしいものです。

静岡県三島市は富士山噴火と南海トラフ地震の影響を強く受ける地域ですので、上記2つの地震予測も合わせて気を付けようと思っています。

関東大震災を予知した人

今から96年前の1923年に関東大震災が起きましたが、その18年前にそれを警告した人がいました。

東京帝国大学地震学研究者である今村明恒助教授です。

しかし、国民がパニックになり、社会問題となって攻撃されてしまい、上司の大森房吉教授にも自説を無視されてしまったのです。

ところが、実際1923年に関東大震災が起こると、評価が一転しました。

大森教授は、大震災後、自分の過ちを認めて謝罪し、今村助教授に地位を譲ってすぐに病気で亡くなったそうです。

明治・大正期の科学は、外国人によってもたらせられたものでしたが、地震だけは海外にはなかった現象なので、「地震学」という分野は日本を中心として発展していきました。この2人は「地震学」の分野の研究を始めたとして有名な人たちです。

当時の地震予知は、地震が起きる周期を統計的に分析しただけのもので、あまり地質学的根拠があるとはいいがたいものでした。まだ、活断層プレートテクトニクスなどの理論がなかったのですから、仕方のないことです。

それでも、大地震を予知して社会に公表するということは、社会的責任が重く勇気がいることですが、100年近く前にも、使命感を持って行っていた研究者がいたということに敬意を表したいと思います。

参考図書

●村井俊治著

地震予測は進化する! 「ミニプレート」理論と地殻変動 (集英社新書)

地震は必ず予測できる! (集英社新書)

上山明博

関東大震災を予知した二人の男 大森房吉と今村明恒

●鎌田浩毅著

西日本大震災に備えよ 日本列島大変動の時代 (PHP新書)

富士山噴火と南海トラフ 海が揺さぶる陸のマグマ (ブルーバックス)

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