東日本大震災から12年、記憶も風化しつつある昨今ですが、南海トラフ地震や富士山噴火の可能性が現実味をおびてきました。
3/12に三島市の防災講演会「富士山噴火は迫っているか!?」に参加してみました。
講師は静岡県立大学および東海大学客員教授の長尾年恭(ながおとしやす)先生です。
地球物理学が専門で、最近は地震の前兆を発信するなど、防災に熱心に取り組んでいる方です。
地震予知・火山津波研究部門 | 東海大学海洋研究所(地震・火山・津波・防災)
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講演会では、三島市民にとって身近な富士山噴火や南海トラフ地震についてわかりやすく解説され、いずれ近いうちに発生することは確実なので、いかに備えるかということでした。
富士山噴火
富士山噴火については、山梨県側(富士吉田付近)でマグマの活動を示すと推定される地震が起こっているので、噴火口は山梨県側になる可能性もあるそうです。
しかし静岡県側で噴火した場合、御殿場市、裾野市、富士市などには溶岩流や火砕流が到達する可能性があります。
東名も新幹線も寸断されます。
山体崩壊が起これば、過去には土石流が小田原や相模原まで流れたという研究結果もあります。
こちらは三嶋大社の前の看板です。土石流の説明が書かれています。
富士山ハザードマップ(令和3年3月改定)|静岡県公式ホームページ
約1万年前には三島市まで富士山の溶岩が到達していて、街中のいたるところに溶岩が露出しています。
こちらも三嶋大社前の看板です。
三島市内にみられる富士山の溶岩についてはこちらをご覧ください。
溶岩流だけでなく火山灰が関東全域に降り、数cmつもっただけでも電線がショートして停電になるそうです。
復旧には相当な期間が必要でしょう。
冬ならまだしも、真夏に停電したら、エアコンが使えず、熱中症で死んでしまいそう。
火山灰はパソコン、スマホ、車や飛行機のエンジンなども故障させ、気管支や目に悪影響を及ぼします。
事前に警戒宣言が出たとしても、どこまで避難できるかわかりません。
おそらく三島市から西や北に移動するのは、新幹線や東名が通行止めになって困難かと思われます。
東は火山灰が東京まで降り積もる予想なので避難先としては向かないでしょう。
そうなると南伊豆方面しか残されていません。
徒歩でどこまで避難できるんでしょうか。
南海トラフ地震
駿河湾~四国沖までの南海トラフでは、過去に100~150年間隔で発生していて、一番最後に起こったのが戦時中の1944年昭和東南海地震と1946年昭和南海地震です。
このとき、静岡県周辺の東海地震は発生せずに割れ残っています。
過去の記録では東海地震は1回おきにしか発生していません。
1854年の安政の地震では南海~東南海~東海の震源が3連動していて、それから169年になるので、そろそろ起きる可能性が高いそうです。
今、私たちができることは、家の耐震補強、備蓄、家族との連絡手段、避難場所の確認だそうです。
自宅付近にいる時なら、まだしも旅先で不案内な場所で被災したら、パニックになるだろうな。
福島の原発の事故例もあるので心配です。
また、2000年に1回、M9クラスのスーパーサイクル地震が起こっていて、前回は1800年前に起きています。
東日本大震災も1000年に1度のスーパーサイクル地震だったことが後から明らかになっています。
さらに南海トラフ地震は富士山噴火を誘発する可能性も高いそうです。
もし、南海トラフ地震と富士山噴火が起こったら、日本の経済は相当なダメージを受けて、国が破産するかもしれません。
命が助かっても、その後の人生が大きく変化してしまうのだろう・・・と覚悟しています。
静岡県の地質学的リスク
今回の講演会の内容をまとめると、現時点で静岡県に想定される地質学的なリスクは以下のものがあるでしょう。
過去には首都直下型地震、富士山噴火、南海トラフ地震が連動しておきたこともあります。
①富士山噴火:富士山周辺~首都圏
溶岩流・噴石
土石流
降灰
建造物崩壊・火災
浜岡原発(講演では触れていませんでしたが)
③箱根火山噴火:静岡県東部
溶岩流・噴石
土石流
降灰
④伊豆大島噴火:大島、伊豆東部
溶岩流・噴石
土石流
降灰
建造物崩壊・火災
近い将来、今の美しい富士山の姿もいずれは変わってしまうでしょう(涙)。
以前、移住するなら三島市がおススメなんて記事を書きましたが、実際に住むところを決める時には、ハザードマップ(富士山以外にも土砂崩れや洪水も)を見て物件を選ぶことをおススメします。
★地震の事前予測に挑戦する人達について記事を書いています。
ここには今回、講師をしていただいた長尾先生の取り組むDuMAも紹介しています。