早期退職、セミリタイア生活日記

静岡県三島市でセカンドライフを開始、伊豆を満喫しています

ワインとテロワール

ワインと地質学の関係

ワインがお好きな方なら、一度は聞いたことのある「テロワール」という言葉。

定義は非常に難しく、地質、土壌、地形、気候・・・といったブドウの樹が育つ環境全体を示す言葉です。ワインの味や香りは、テロワールによってつくられているのです。

このテロワールを「地質学的」に解説したのが、こちらの本です。


テロワール TERROIR 大地の歴史に刻まれたフランスワイン

著者は、アメリカ人の地質学者でシェル石油会社に勤務し、石油を探す仕事を長年行なってきた人です。退職後はアメリカの石油学会(AAPG:American Association of Petroleum Geologists)会長を務めました。ワイン好きが高じて、ブルゴーニュの地質を調べた結果をまとめたものです。

そんな人なので、この本にはブルゴーニュをはじめとするフランスのワイン産地の地質図、断面図などの貴重なデータが満載です。その土地の地質の特徴が、地形をつくり、畑の土壌を作るので、ワインを知るには地質の解析はとても重要です。

今は絶版なのか、アマゾンでは中古品がずいぶん高い値段です。この本の和訳を担当された坂本雄一さんのお店が飛騨高山にある「坂本酒店」です。こんな山奥(?)にある酒屋さんなのに、地下にあるワインセラーにすごい在庫があります。数年前、訪問した際、ジオの解説を聞きながら、好みのテロワールのワインをセレクトしてもらうこともできました。その時のワインは、オーストリアの「変成岩」の畑で採れたミネラル感の強い白ワインだったかと思います。

彼も海洋地質学を専攻した方で、田崎真也ワインサロンで「ワインの地質学講座」の講師を勤められたり、ワイン雑誌「ヴィノテーク」に時々、ワインと地質学の特集を執筆しています。最新号はこちらです。 先月、ボジョレーヌーボーが解禁されましたが、そのボジョレーの畑の地質を解説しています。畑の地質図や畑の石ころの写真が掲載されています。


ヴィノテーク2019年11月号地質学から見るクリュ・ボジョレ

ボジョレー地域は、ほとんどが花崗岩質の土壌ですが、一部に石灰岩や火成岩質の土壌の畑もあります。地質が違えば、地形や日当たり、水はけも変わりますし、ブドウにも影響すると思います。ここのブドウ品種は「ガメイ」のみですが、畑の土壌の違いと味わいに関連があるのか、試してみたくなります。

ほかの地域(オーストリア、スペイン、北イタリア、シャブリなど)のワインと地質を解説したバックナンバーもたくさんありますので、ご覧ください。

バックナンバーの検索はこちらから。サイト内のカテゴリー検索「人気のワード」→「地質」から検索できます。お得な「地質学シリーズのバックナンバー7冊セット(7000円、税・送料込み)」は、直接メールで申込できるそうです。

伊豆と山梨のワイナリーのジオ

伊豆にも、ワイナリーがあります。カラオケのシダックスが経営している「中伊豆ワイナリー」、伊豆と長野にブドウ園を持っていて、そこで収穫されたブドウでワインを作っています。ワイン雑誌にもよく取り上げられています。

この中伊豆のブドウ園は、伊豆の陸上火山「宇佐美火山」の溶岩が流れた大地に作られたものです。丘の上の緩やかな斜面は日当たりや水はけもよいそうです。

溶岩台地に広がるブドウ畑

ブドウの品種の紹介

信濃リースリングの畑
芝生が植えられていて土壌はみえない。

メルローの畑
芝生が植えられていて土壌はみえない。

このワイナリーの丘のふもとには、伊豆がまだ南の海にあった頃の古い地層、石灰質砂岩と有孔虫化石が見られます。こちらもジオサイトになっています。

また、こちらは山梨県勝沼ルミエールワイナリーにあった土壌の標本です。甲府盆地を囲む扇状地堆積物(砂や細礫)が重なっている様子が見られます。

ワインと地質の奥深い関係に思いをはせつつ、グラスを傾けてみるのはいかがでしょうか。

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